代打出勤のサイレンが鳴り、準備をしたところでやはり休みになったので小樽に行ってきた。
札幌からJR片道750円で小樽に行けるということはとても良い。なんせ地元に帰る時は片道5000円(バス)~10000円(JR)するので、そこそこの非日常をこんなに格安で味わえていいのかと不安にすらなる。
そんなこんなで昼頃からJRに乗ってなんのあてもなく小樽に行った。なんとなく札幌から小樽間はさほど距離がない気がしたのですがちょうど1時間ほどかかるようで、とりあえずで持ち出した文庫がほどよく役に立った。
角田光代の「まどろむ夜のUFO」というやつを読んだけど、車内で読んでいるとちょっと酔ってきたのでほどほどに読んであとは車窓をじっと見た。
この時期の海はぬるっとすべすべしていて怖いね。
札幌から小樽に向かう時にめちゃくちゃいいタイミングで海が見えるのはいつも「観光ってかんじがして憎いねぇ〜」と思って見ている。
海のキワにオレンジ色の派手なプラスチックのコンテナが忘れられており、あれはそのまま海に攫われるのかちゃんと誰かが回収するのかどっちなんだろうなと思った。
バカデカホームセンターが見えたのでここで降りても良かったなと思ったのだが、駅を過ぎてそのホームセンターにイオンと色々入った商業施設が別々にくっついており、ここで降りたら多分己のキャパ的に死んでたなと思ったのでまあスルーして良かったかなと思った。
小樽駅に着いて駅の中のめちゃくちゃ綺麗なガラス窓やいいかんじのガス燈や、おしゃれなかんじに敷いてある石畳に狼狽えた。前に来た時はこんなにおしゃれだったっけ……?バーガーキングまであって知らない都会に降り立ってしまったかもしれんと少し心細くなった。
駅から出ると長崎屋が目の前にデカくそびえており、ドンホが入ってるらしかったけど観光だとその選択肢はどうなんでしょうかと思ったけど長崎屋以外に駅の前には何も無くとりあえず坂を下ってみることにした。
海のある町というのは大体下っていけば正解がある、となんとなく思う。上のほうはさほど発展していないけど下ればそれなりに観光っぽい地があったり地元民がワイワイやっているイメージがある。
しばらく下ってみたが美術館があるのみで、せっかくだから入ってみようかなと思ったが時計を見ると受付時間を3分オーバーしていたので無理を言って入るのも違うなと思ってそのまま下った(16:30までだった)。
それ以外意外と何も無かった。
商店街があったので商店街好きにはたまんねぇぜと思って歩いてみるけどココカラファインと喫茶店と手芸屋しかやってなくて商店街の抜け殻みたいな空間だった。
とりあえず手芸屋が軒先に出していたアホのようなニット帽が素敵だったので店に入ってみると「バレンタインのリボン100円」というのがあり、まじかよ〜と思って使う用と保存用でふたつ選び、300円でポンポンとかボタンとかを好きなだけ袋に詰められるよというやつを丹念に選び、服につけるチャイナボタンをあるだけ買った。チャイナボタンって在庫あまりなくなってきているから皆さん買うといいよ。どこも廃盤のようで、結構探しているんだけどどこの店に行っても一種類あるか全くないかのどちらかなので。
そこからぽこぽこ歩いてはみたけど小樽運河まで出ても一向に「ザ・お土産屋」というのが見えなくて旅行に来たトークンがほしかったのといい加減陽が落ちてきて寒かったので仕方なくGPSで「小樽 硝子 お土産」などと調べてお土産通りを目指すことにした。めちゃくちゃ寒い。
南小樽の方がお土産通りは近くて、坂と石畳の多い道はなかなか足が痛くなった。
かなり陽が暮れてきて道が怖くなってきた。
怖くないですか、こういう道。
誰かの車に乗ってる時にこういう道みると無責任に「行ってみようぜ」となるんだけどひとりで横切ると怖いし人っ子一人歩いていない。
しかもまだ17時とかだよ。怖いよこんなの。
競歩してんのかなというスピードでさっさとお土産通りに向かった。いかにもお土産通りですよという光源が並んでいるのがみえるとホッとした。
試しにひとつめの店舗に営業時間を聞いて、あと2時間くらいはダラダラ見られるとわかったので飲み物をズビズビ飲みつつ見て回る。
たいして買い物をする気もなかったのでこの時5000円くらいしか財布に入れていなかった。旅行トークンをひとつ買えたらいいかなと思って。
かんざし屋を見かけたので微塵もかんざしに興味がない(かんざしを挿せるほどの髪の長さがないので)けど入る。結構良い素材の和服の羽織が3500円で売っていて「ア゛……!」となり、急いで金をおろしにコンビニに走る。おろしてから少し冷静にならねばと思って、一度この店ではない興味を惹かれなさそうな雑貨屋で一息ついた方がいいんじゃないかと思ってアロマと陶芸を扱う店に入る。
これが終わりの始まりだった。
店先の出窓に飾ってある素焼きの置物はフ〜ンというかんじだった。なぜならわたしは釉薬がたっぷり塗ってあるツヤツヤの焼き物にしか興味がないので。まあしかしいいでしょう、一息入れるには。
そんな適当な気持ちで中に入ると陶器の四角い箱の上にツヤツヤのよくわからない様々な生き物がついているキャンドルが並んでいた。
とにかく見てくれよ、、
あの、言っておくと全然別に安くない。そらそうだろうな。多分手作りで、UFOは色違いのやつと悩んだけどこれの方がへっぽこなかんじがしてどうしてもかわいいので買った。
他にも相撲レスラーとか寿司とかソフトクリームとかクジラとか泳いでる人とかごろんとしたクマとかそういうのがついているのが20種類くらいあった。
それと、つまようじしか刺さらないんじゃないかという一輪挿しの花瓶もあった。これも大変良かった。
カワイイネ……(購入)
これの他にテーブルの上に花瓶が置いてある形のやつの一輪挿しもあって、所々ドライフラワーが刺さっていた。色々見ていると店員さんが「他のやつに刺してある花に差して買えますよ」と言ってくれたんだけどドライフラワーをどのようにして持ち歩けばクシャクシャにならないかと考えて良い案が浮かばず花無しでレジに持って行った。
そしたらレジから色んな花を出してくれたので「なんかごめん」と思いながら黄色のお花を選んだ。
ポンポンみたいな花でかわいいね。
持ち帰っても案外花びらが欠けたりとかはなかったので杞憂でした。
この店があまりに良かったので「通販やってるんですか。やってたらお友達の誕生日とかに利用したいので……」と聞いたけど通販はやってないらしい。
どうしてもこれだなと思ったらまた訪れたい。
「小樽煉瓦工場 堺町」でインスタ出てくるので小樽でモヨッとした物を買いたい人は是非利用してください。
あと、ガラスの小さい置物は小樽トークンとしてちょうど良さそうだなと思ってそういうのが置いてある店に行って硝子のウンコを買おうか硝子のタバコ(with灰皿)を買おうか、それともおしゃぶりをつけている乳歯を買おうか迷って乳歯と歯磨き粉が乗った歯とショートケーキの硝子の置物を買った。
こういうちいこいガラス製品のモヨ〜ンとした仕上がりを見ていると毎日手作りで硝子の乳歯やウンコを作っている人が確かに存在するんだなあと思う。
そういうものにわたしはなりたい。ウンコの先端や顔の造形にこだわりたい(ウンコは顔がついている)。
これらを買っているとあっという間に全体的に閉店の時間が近づいてきたのでさっさと帰ることにする。GPSで南小樽の駅を目指しながら途中のホットシェフを貪る。別にどこのホットシェフも味は変わらんなと思う。そこがいいんだけれども。
これは車が落としていった初雪とホットシェフだよ。寒い。
ホットシェフを食べ終わりまたぽつぽつと駅に向かう。やっぱ夜道こえ〜よ。そして坂の角度エグくないですか。真冬どうなるの、この車道。車の運転怖くないんか???
下りでも感じていた坂の角度が帰りの上りで余計に辛く、脛が「耐えられるか!乳酸地獄!」と実況を始める。登りきってから斜面の写真を撮ろうかと思ったがカップルが登ってきていたのでやめました。
登りきっても駅が見えず一生帰れないんじゃないかとわずかに泣きそうになったけど、デカい病院の影で駅がこじんまりとしており駅の明かりに安心して無事に帰路に着いたのでした。
夜の車窓はなにも見えるものがなくてつまらなかったので途中までこの旅行記をまとめたり、LINEを返したりしていて、あまり旅行としての風情がなかったな。
札幌駅に着いてから周りの店の閉店時間がまだ少しあったのでタラタラと見たけど、わけのわからない置物なんかどこにも売っていなかったので「今札幌駅にいる人たちの中で一番素敵な置物を持っているな……」と思いながら無印でチャイを買って家に帰ってきました。チャイ美味しい。
職場にお土産何も買わなかったけどいいか。別に。チャイ美味しいし。
マジで皆さん小樽煉瓦工場行ってみてほしいということだけを伝えたい。少なくともわたしはまた行くだろうな。
キンダーリープなくなってたから(この連絡くれたヒョロワ本当にありがとう)心の拠り所がそこにしかない。仮面堂みたいな店もなくなってたしさ。時の流れって本当嫌ね。