古物はいいぞ。

古いものはいいですぞ、という内容です。

古本屋で働き始めたのもどちらかというと本が好きというよりも古いものが好きだからという面が強いのです。

おそらく祖母の家で育ったのがめちゃくちゃ影響しているし、田舎町でのマイフェイバリット娯楽が「古銭集め」だったことも関係あるだろうと思う。

 

古本というのはある程度(大体昭和の末に出たもの以降)はISBNという管理コードで流通しているので結構古本でも価値が安定していることが多いです。あと本はカバーと1番最後のページにISBNが書かれているので両方紛失することはそうそう無く、市場価値が安定している気がします。

一方で古物になるとJANコードというものでISBNと大体同じような管理をしているのですが商品が入っていた箱のパッケージに書いてあることが多いです。物を使い始めた段階で箱など処分してしまうから、そうなると時が経てば「なに…?これ」となるわけです。なので古物の方が目利きが難しい気がします。古道具屋に通いつめて店主さんの話を伺っていたんですが基本的にはパッと見ただけで判断する目を養うとか、知見のない分野であれば買取の際にいつ誰が使ってたものかをヒアリングして価値をはかることをしているように思う。

ペコちゃんの目の向きでレア度が変わるとか、リカちゃんやジェニーちゃんの顔の造形でレア度が変わるとか、そういうのを聞いてめちゃくちゃすげえと思った記憶があります。

 

そういえば旅先で「それなんなのかわからないから安く売るよ」というのがありました。

これなんですが、わかりますかね。

これ、多分中国土産の灰皿だと思うんです。

上のお皿に灰をぺしぺし入れて、最後に横のつまみをくるっと回すと灰が下の壺に落ちて綺麗になるみたいなやつ。

この形の灰皿は古い喫茶店で見た気がします。あと、別で香炉を持ってるんですがそれの絵の付け方と似ているので多分中国土産なんじゃないかなと思います。

そんなことを説明して買ったんですが、いつかこの知識も店主さんの役に立つといいな。

 

あと、定期的に買い直しているもののひとつとしてカシオのムーンフェイズの腕時計があります。

これ。

90年代初期に流行ったものらしくて、時計の針の他に朝は太陽、夜は星や月の絵が出てくるんですよ。良い〜。

最初古道具屋でこれを買おうと思ってジロジロ見ていたら横にいた親が「…!これ欲しいの!?買ってあげる」と言ったのでなんじゃろ?と思いつつお言葉に甘えたんですが、後から聞いたら親が昔これと同じシリーズの時計を持っていてなにか運命めいたものを感じたそうでそれ以来定期的に買い直しています。

というのも中の部品が複雑な分、劣化が早くて修理も高いという代物でめちゃくちゃ早いスパンで電池がなくなっていきます。そうなると古物ガチャのような気持ちで新しいものを買うというかんじになるのです。

 

あとこういう香水の小瓶も集めています。食パンみたいでかわいいね。

これ、普通の実験でつかう薬瓶みたいになっていてこの瓶でどうやってつけるのかと思ったんですが、蓋の裏についている香水をちょちょっとつけるみたいなかんじみたいです。最近の香水瓶の進歩がわかりますね…

着物用の香り袋みたいな白檀っぽい香りがして、和装に合いそうなかんじの香水です。今も売ってるんだけどべらぼうに高くてやはりわたしは小瓶でいいですってなりました。あとなによりこの瓶のデザインがいいし。

 

ぱっと目に入った古物はそんなもんだろうか。

他にも置き薬の箱とか手巻き時計とかファミコンとか黒電話とか古い充電式の電卓とかそういうのもある。着物とか道行とかとんびコートとかもあるな。使ってたりしまい込んでいるものもあるのでダルくて出さないですが。いいよね、古物。

前の持ち主の気配を少し感じるところもいい。

 

流行らなくとも理解されずともわたしはやはり古物に触れていたいなと思いました。