誕生日前前夜祭2024

誕生日って何をしていいかわからない。

厳密にはまだ誕生日でもないのだが、誕生日前最後の休みなのでほぼ誕生日と見てよいと思う。

 

学生の時は友人同士で誕生日が来たら祝うというのが一般的だったし親に「ケーキでも買ってきたら?」と雑に2000円を握らされてシャバシャバの雪道を歩き家族の需要に応じたケーキを買ってきていたのでまあなんとなくやる事があった。

しかし一人暮らしで同じ毎日の繰り返しをしていると別になにか無理に誕生日を過ごす必要はない。学生の頃先生の誕生日を祝ったりしていて、その時に先生がわりとマジで己の誕生日を忘れていたりしたのはこういうことなんでしょうと気付きを得ました。

さりとて何もしないというのは己の誕生について全く思いを馳せてないようで微妙だ。なんかを、なんかしらをしたい。

そこでとりあえず1万円を無計画に使っていい日とすることにした。とりあえずの試みで「悪くなかったな」と思えたらこれを毎年の恒例としたい。

ちなみに買った物は下記である。(以下時系列順)

 

酪酸菌の整腸剤 2,500円

別に今日でなくともよい。こんなものは。便秘でお困りならばいつでも買うべきである。しかし、家にビオフェルミン便秘薬があり、服用すると多少「助けてくれ!」という時間があるものの便秘は解消される。

あと、安価にこだわるならセンナ末もいい。大容量の渋いお茶なのだがこれを少し飲めば「本当に助けてくれ!!」という腹の痛さと共に全てが解決する。飲みすぎるとどうなるのか考えただけで怖い。

しかし。出来れば便秘で困るという出来事自体をなくしたい。そこでこの酪酸菌の薬だ。腸の動きそのものを良くするらしい。サプリのコーナーに鎮座していたことが気がかりであるが、効果があるといいなあと思っている。

 

・4Pで入ってる薄皮パンナポリタン味 120円

絶対美味くはないだろ、と思いつつニヤニヤしながら買った。すかさずニヤニヤしながら食べたらちゃんと喫茶店ナポリタンの味でふつうに美味くて騙された気持ちになった。美味しいならいいだろと思うだろうけど、どれだけそうでもないかのスケールを準備して食べた身としてはつまらない気持ちだ。

しかしまた見つけたら買うだろう。

 

・美幸の梅ざらめ味柿ピー 150円

これ美味しくて好きです。梅味の柿ピーってこれと亀田製菓のやつ(一番オーソドックスなメーカーのやつね)があって、両方好きだ。

美幸のやつは甘じょっぱくて辛さゼロなのでぼーっとしながらザラザラ食える。ありがたいことだ。

亀田のやつは酸っぱさ強めで唾液腺が刺激されてバクバク食える。これも美味い。どちらも美味しいので気分に応じてどちらかを買うことが多い。

近所のツルハでちょいちょい買ってたら亀田と美幸の両メーカーの梅味柿ピーが並ぶようになっていて嬉しい。

 

・往復交通費 420円

冬道を歩くのはテクニカルな要素が必要になるからできるだけ公共交通機関に頼りたい。そういう気持ち。

 

・3P靴下 880円

なんかちょっと安くない?世間は3P1100円ですよ。

いつも思うけど3Pの靴下を選ぶ時2種類はこれだなというのが迅速に決まるのに残りの1足は全然なんかどうでもいいなってなる。どうでも良すぎて選べないまである。なんで???

 

・ヤバい色の手提げ 2,000円

サリーの布をリメイクして作ったリバーシブルの小さい手提げバッグを2つ買った。

ヤバい色や柄のものは全身黒コーデに合わせると大変おしゃれに見える。令和最新版のおしゃれな柄を何周もぐるぐる回って吟味した。これは店頭に20種類くらい出ていて全部色柄が違うのだ。そんなの吟味に値する。

それで、これリバーシブルなんだけどどうしてもリバーシブルの両面ともに使いたい柄のやつを選びたくてそれが困難を極めた。リバーシブルってどっち側も同じくらい使いたいことなくないですか?完璧に両面とも使いたいのはあいにく見つからなかったけど良さげなやつを買ったのでそのうち使うと思う。こんなんいくつあってもいいですからね。

 

・タバコ2箱 1,080円

アークロイヤルのチョコ味のやつがタバコの中では好きだ。フィルターのとこに甘い汁がついているので楽しめるポイントが多くて良い。しかしモモヤと狸小路のゲオのタバコ屋にしか売ってないのでわざわざ買いに行くのもねと思ってハイライトのメンソールを仕方なしに吸っている。

そんならメンソールのカプセル入ってるやつはどうなのよという点に関しては、全然メンソールの玉が割れないので地味に好きではありません。どこにあんの?「ここやで」という印のとこにあった試しがないです。

ハイライトのメンソールはタールの丁度よさとメンソールなのにカプセルじゃないところがいいです。

ゲオのタバコ屋は買ったタバコここで吸っていいですよルームがあるのでそこで久しぶりにアークロイヤルを吸ってみたが、久しぶり過ぎてこんな味でしたっけ?というかんじでした。

 

・北海道のこじゃれたお菓子や調味料など 3,000円

ありがたいことに「おたおめ!近々祝いにいきます!」と言ってくれた方もいらっしゃったので北海道各地のこじゃれたちょっとした食い物をお返しに買いました。

わたしが子供の頃は「鮭とば!(巨大)」とか「チョコ菓子!(デカいメーカー)」とか「キツネのしっぽ!」とかそんな洒落っ気もなくワイルドなお土産しかなかったのでいい世の中になりましたねと思いました。

 

・古着 990円

営業時間の短さゆえにあんまり行けてなかった古着屋に行ったら、SALE!550YEN!という表示が多く出ており道行(着物用の軽く羽織る上着みたいなやつ)が550YENとのことで「ヘァェ!?」と思ってしばらくのぞいた。

道行ねぇ、夏に便利だよ。しかしいま当店では着物警察が猛威をふるっているのでどうかねと思ったら着物袖でふつうのカーディガンみたいな色柄と素材のやつがあり、それを選んだ。それは買うとしてどうするかねと思って色々見ていたら雪避け付きの雪駄(成人式でよく見る雪をガードできる靴)が440円とあり、履くかどうかを別として買った。あれってころんとしてかわいいよね。真っ黒だったから別にいつでも履けると思う。履きます。

 

・古本 440円

なんだかんだで書き漏らしているがなんの面白みもないジュッチュ(飲料のことである)を買ったりしていて残金が少なくなってきたので大手古本屋チェーンに行く。狸小路をぶらりとしていたのでなんか本買ってマックで読むかなあと思って。結果これを書いているので現時点では読んでもいないのだが。

エッセイと岡田尊司の新書を買った。エッセイはバスでの旅に関するやつで、2~3ページでひとつの話が終わるような話が沢山入ったぽわぽわとした本で、買う時にさして見なかったんだけどきっと好きだろうから買っちまおうと思った。

バスに限らず移動って楽しいよね。車だったり、電車だったり、路面電車とかモノレールとか。人間の座標が高速で移動することが好きだな。人間はそんなに早く動けないからみているとめちゃくちゃ面白い。なので移動する時は意味もなくGPSで自分の座標を見ています。知らん地に行くのだという高揚感も好きだなあ。

岡田尊司の新書は読んで面白かったなと思ってたんだけど、今日まさにそれを買っていったお客さんに「この人の文面白いですよね」と話しかけてみてから妙に熱がぶり返したのでまた読もうと思ったのだ。あのお客様にまた会えると嬉しいな。(この文をあたまのよい人が読むときっとここで「あ、休日出勤してたの」ってなるでしょうね。答えは「はい」です。)

 

・チキチーとポテトLとドリンクMサイズ 600円くらい(たしか)

フライドポテトというものが料理として好きだ。ロッテリアは品質にブレがなく優等生、マックは品質ガチャ、モスはもっさり、映画館はべちゃべちゃで味が濃い、カラオケはガリガリで味が濃い、と色々ある。

今日マックで食べたポテトはなんというか、全く不味い訳ではないが食べたかったのはこれではないですわというかんじ。ポテト占い小吉というかんじです。

チキチーはブレがなくて美味しい。大体フィレオフィッシュかチキチーを食べている。フィレオフィッシュの上顎に全てがくっつくかんじが望ましい日もあるからそういう日はフィレオフィッシュです。

ちなみにロッテリアだと絶品チーズバーガーを注文するのですが、言うほど絶品か?と思っていたんですよ。そもそも順番としてポテトがアチアチかうちに全て食べてからハンバーガーにうつるというパターンで食べていて、ある日絶品チーズバーガーをなんとなくポテトより先に食べてみたらすこぶる美味くてびっくりしました。しかしやはりポテトもアチアチで食べたいので素早く交互に食べるという方法に落ち着いています。

 

そんなとこかなあ。もうそろそろ帰ろうと思うよ。炭水化物食べすぎて意識が遠くなってきたので。

なんか体感1万使った記憶はないのですが、わりと厳密に1万使ってしまっているらしいです。お金ってこわいですね。

大人になってからのお食い初め

時々ポロリするのですが、そこそこ貧しい家庭で育った人間である。それはそういう性質というだけで「😟」という顔をしてほしいわけじゃない。

じゃあなにかというと、外食といえばロッテリアと稀にモスくらいしか行ったことがなく、その他どえらい金持ちの生まれだった祖母に喫茶店やファミールというファミレスやヴィクトリアとかいう定額で無限にコーンスープを飲んでいい店に連れて行ってもらったくらいだった。だから大学に進学するにあたり己の金で好きな外食をしてもよいという場面で初見の料理を数多く見たり食べたりしてそれがなかなか面白い体験だなあと思った。

なんというか、ある程度人間として出来上がってから美味しいものや知らないものを食べるとぼんや〜り美味しいなあ好きだなあと思うより「知識」で蓄積されるなあというかんじがしたのだ。貴重な機会にディティールを観察しまくろうみたいな心情ですかね。これは他人から見て面白いのかどうなんだと思って試しに「成人してから食べて美味しかったもの」を書いてみようと思った次第である。

 

・オクラをめんつゆに漬けたやつ(浅漬けなのか?)

学食に小鉢で出てきたと思う。そもそも家の人間たちが「出されたものは残さないが、嫌いなものはそもそも食卓に出さない」という思想であったため食卓にオクラが出なかった。つまりわたしは「当家系で初めてオクラを美味しいと思った人間」なのである。

野菜なのに加工せずともネパネパしていて、種のぷちぷちとした食感も面白く、めんつゆ以上に味付けをすべきではない個性がオクラにはある。

時々冷奴に輪切りのオクラをのせてあるお通しが出たりするが、オクラがのっているというだけでありがたい。一緒にのっているかつお節のファサファサ感はどうでもいい、オクラをのせる親切心がありがたいと思っている。

揚げ物でもオクラってあったような気がするけどどうなんでしょうか。あのネパネパ感とぷちぷち感があるのであれば食べたい。

 

・揚げだし豆腐

これも学食でなんとなく小鉢に入ってあって、友人と一緒にそれを食べた時に「こ、これはなんという食べ物ですか?」と聞いて名前を知ってから学食の日替わりメニューに揚げだし豆腐の文字がある日はウキウキでそれにしていた。

味付けがめんつゆで済むものが好きなのかもしれない。

ジュワ感があるひたひたの揚げだし豆腐もいいし、衣にこだわったちょいサクの揚げだし豆腐もいい。不味いカレーと同じくらい不味い揚げだし豆腐はないと思っている。

 

・カプレーゼ

文字面や写真で見ただけでは全く伝わらない美味さがある。

適当にバル的な所での飲み会でテーブルにありがちだが、モチモチした丸いチーズとジューシーなトマトの汁気とバジルソースみたいなやつが全部正解。

必要最低限の食材とそれでいて美味しい料理のグラフの交わる点にある料理。なんかあの、ミニマリストみたいな料理。

大学のゼミかなんかの飲み会にあって、飲み会自体はクソおもんないかんじだったけどカプレーゼは美味しかったので存在を知れて良かったと思う。

今では飲み物より先に頼みたいくらいカプレーゼが好きである。

 

・ニンニクの芽を焼いたやつ

見た目が完全に「にらたまのニラだけ」みたいなやつである。飲み会で暇だなと思ってつついてみたら美味しくてバクバク食ってたら天罰かなというくらい腹が痛くなって意味がわからなかった。なにこれ。

未だに許せない。美味しいのに食べたらお腹痛くなるってなんなんですか???

 

皿うどん

これは小学生の時に食べて衝撃が走ったものである。忘れもしない。

友人宅で「夕飯食べていきなよ〜」と言われてぽこぽこ観察しに行ったらデカいベビースターラーメンにタレがかかってて「え?飯としてベビースターラーメンは認められるのですか?」と思った。

めっちゃ美味い。口の中怪我しまくりながらパリポリ食べるのが楽しい。あんかけでだる〜んとなっているのを食べても時々思い出したかのようにパリポリしている部分があってやはり楽しい。家に帰ってから「皿うどんというやつ作ってよ!」と言ってみたがついに登場することはなかった。多分コスト的な問題ですね。

 

・ササミを紫蘇でくるんで揚げたやつ

あれってなんていうんだっけ。あわよくばチーズなんかも入れちゃってるアレ。

これもめんつゆで食べるのが最適解だと思っている。醤油で食べるよりもチーズの風味や紫蘇の風味が消えなくて良い。味はさっぱりしているのに意外と胃もたれはするので少し納得がいかないが食べ物の味としてのさっぱり感レベルが結構高いので好んで食べている。

 

・カラオケのポテト

やたら味が濃いし揚げすぎだよというあれ。美味い。

カラオケは成人するまで行ったことがなくてそこまで行かないと「いつどのタイミングで行くべきなんだろうか」と思って誘われるタイミングがあっても「今カラオケに行きたいという強い動機はないな」となり20代後半まで行かなかった(詳細に示すならば26歳まで行かなかった)。

ドリンクバーの薄いジュースはなんのコメントもない。しかしながらあのポテトは素晴らしい一品だ。どのファーストフードにも似たものはない。映画館のポテトは味が近いがシナシナベチャベチャなのでやはり遠い(あのシナシナベチャベチャで全てがひとかたまりになってるポテトも別のものとして好き)。

カラオケはどうでもいいけどあのポテトだけテイクアウト出来ねえかなと常に思っている。音痴だし選曲めんどいからさ。

 

・ばくだん丼

オクラと納豆ととろろが入っためっちゃかき混ぜて食べていいなんともお行儀の悪い食べ物だ。なんかめんつゆみたいなのをかけて食べる。

やはりめんつゆが好きなのかもしれない。ちなみに鰹だしよりも昆布だしのやつが好きです。合わせだしのやつはどっちかにしろよと思いながら使ってる。

汁気のあるものとご飯の絡まりが素晴らしい。ソース多めのパスタみたいな有り難さがある。

 

・ねぎトロ丼

魚を粉々にした塊に多少とろろがのっていてワサビがこってり添えてあるあれ。これもめんつゆみたいのをかけますね。昔職場の近くに「THE丼」とかいう雑な名前の丼屋があり、なんにも考えずにただただ飯を食べたいという時にふらふら入って食べていた。ねぎトロ丼は不味いねぎトロ丼が存在しないので助かる。安心安全が保証されている食べ物だ。

「かつや」のカツの味があまり好きではないんだけど、苦し紛れにねぎトロ丼を注文したらまずまずの美味しさで安心したことがある。

 

・塩パン

これはなんというか別に貧しさとは関係なくてなんか塩パンブームというのがあったのでどうなんだろうと思って買った。それほど大きくないシンプルな見た目なので2個くらい買ったろと思って買って食べたんだけどこれはガチャ要素がある食べ物ですね。

もっとも美味しいやつは焼きたてで外がカリッとしていて、かつジュワみがあるものなんだけど、このジュワみが特に時間や店に関係なく完全にガチャなので(わずかに排出率は異なる。やはりガチャである)とりあえずパン屋に立ち寄ると2個は買うようにしている。

イソップベーカリーの塩パンが今のところ割とすき。塩パンの上にざらざらと塩をまぶしてあるのでガチャ失敗してもしょっぱくて美味しい。

この前初めてボストンベイクに行ったらバジル塩パンがあってそれも美味しかったな。

 

・チャイ

昔しゃらくせぇ男と交際していた事があって、なにがしゃらくせぇかというと死ぬほどスパイスを持っててそれはいいのだが紅茶も茶葉を死ぬほど持っていて、自炊をしない我が家に泊まった翌日に色んなフルーツをのせておしゃれなグラノーラを作ってくれていたのだ。クッソ朝にリンゴをしょりしょりむいている後ろ姿をみながら「しゃらくせぇな」と思った。有難いんだけどさ。

で、冬になるとうちのキッチンに数種類のスパイスと数種類のお茶っ葉を置いたのでなにかと思ったらミルクを煮出してチャイを作ってくれたのだ。よくみたらルピシアの茶こしも置いていった。ルピシアの茶こしは目が細かくていいらしい。わざわざ自炊しない人間の家にこれらを用意してチャイを煮てるのしゃらくせえな〜。しかしこれがめっっちゃ美味しくてたまにわたしも真似をして作る。

しかし作るのも洗い物などがまあまあめんどくさいので隙あらば喫茶店やシーシャバーで飲もうとする。チャイって色んな味がして美味しいよね。

 

挙げてみるとこんな量か、エピソードとしてはあんまり多くないですね。なんか忘れてるだけかも。

なんか基本的にどの飲食店に行っても「これは頼むとして……」の「これ」にあたるものには大抵なにかのエピソードがあるのできっともっと沢山ある。あ、クラムチャウダーとか。もういいか、うん。

まあそんなかんじです。

ネタバレ含む千年女優のレビュー

皆さん見ました???千年女優

わたしはヒラサワから今敏を知ってパプリカ(の、狂った博士がトンチキな事いいながら飛び降りるシーンのみ知ってる)とかパーフェクトブルーしか知らんのですが、それらはいつか見たいと思ってたんですよね。

特にパプリカは筒井康隆の小説で読んでもきっと意味がわからんじゃろと思ってひたすら機会を伺っています……

パーフェクトブルーはこの前シネフロで上映されたんですがチケット完売で買えず……グギギ……

千年女優は色彩の派手さくらいしか知らなくてモノノ怪みたいなかんじかな〜と思いつつ全く情報を入れずに見た次第です。

 

で。見終わってさ。

 

後半泣くところだったわ!!!!

もはや老いた千代子さんの姿がヒラサワに見えてきたよ!!!今敏の憧れの人がヒラサワで初めて一緒に仕事をした作品らしいのでそもそも今敏がこの作品でヒラサワについてバチクソ重い愛を表現してたとしてもなんらおかしくはないのですがね。

ちなみに結構若くして今敏は亡くなっているのですが、出棺の際にこの千年女優で使われたLOTUS-2を流したそうでヒラサワも「行ってらっしゃい」と声をかけたそうでワア〜〜〜〜ッ!!!!ってなります。

死んでしまったら憧れの人から物理的に離れるじゃんと思うけど、主人公をなぞるのならヒラサワをまた遠くから追うのが楽しみになるんですかね。憧れの人を追ってる自分が好きと千代子が述べていたので。はぁ……(深い溜め息)

 

正直映画としては内容の把握が難しい作品ではありましたよね。

70歳になる伝説の女優島倉千代子を取材するために「贈り物」を用意してスタッフをひとり連れて山奥までやって来た監督。

いざ、千代子に「ご自身の今までについて好きにお話してください」と言い取材し始めると、おそらく(この辺から曖昧になってくる)自分が女学生時代に一目惚れした「鍵を持った絵描き」を追うために満州に行きたかったところちょうど映画女優としてスカウトされてそれが満州で撮るということだったので芝居なんかどうでもいいけど家族の反対を押し切って引き受ける。で、満州で映画を撮り始めて八卦に「その人は北にいる」と言われたんで映画の撮影をほっぽり出して北へ向かうも乗った汽車が襲撃に合う。結局のところその八卦は千代子を妬むベテラン女優が映画の助監督に入れ知恵されて八卦にわざと危ないところへ行くように仕向けられてた訳ですが。

なんやかんやでそれから真面目に映画女優をやっていたら絵描きから託されていた鍵をなくしてしまう。鍵をなくしてから一気にしょんぼりして助監督と結婚してみるも部屋からなくしていた鍵を見つけてどういうことかねと問いただすと上のような策略をされていたことを白状されておい!!!!ってなる。

で、これまでちょいちょい出ていた顔に傷のある男(絵描きを思想犯の罪で追っていた)が千代子の前に現れて絵描きから手紙を託されたと千代子に手紙を渡す。それを見て飛び出してひたすらに北海道の雪原を目指す。絵描きは故郷である北海道で絵を仕上げたいと言っていたからね。

辿り着いた先に絵描きはおらずイーゼルにかけられた絵がぽつんと置いてあり、絵の中には雪原と絵描きの後ろ姿があった。見ていると絵の中で絵描きはどんどん先へ歩いて見えなくなってしまう。

その頃取り残された顔に傷のある男が助監督に「思想犯として捕まえた絵描きは拷問にかけたのちにこの手で殺めてしまった」と泣く。

以上を当時撮ってた映画とごちゃまぜの内容で千代子が説明するんだけど、雪原の話をしている時に倒れる(描写としては臨場感たっぷりの演技を交えながら説明しているので、雪原に千代子が倒れた描写と本当に千代子が今倒れた描写が重なる)。

どうやら千代子は長くないらしく、頓服っぽいものを飲んで「まあ老人なんてこんなことよくあるから」と続きを話す。

そのあとの映画でオープニングで出ていた「宇宙まで絵描きを追う」という作品をなぞり、途中で本当に今度こそ倒れて病院に運ばれる。

監督は「またの機会にしましょう、医者も回復すると言っていましたし」と言うが呼吸器をつけた千代子は「嘘が下手なのね」と言い宇宙の果てまで絵描きを追う話を最後まで語る。結局会えないんだけど。

最後に千代子が「あの人を追いかけてるわたしが好きなの」と言いそのまま息絶えてしまう。

で!!!!終わりなんですがここで流れるLOTUS-2!!!!わあーーーーーー!!!!今敏ィーーーーー!!!!

 

千代子が語る映画の中では宇宙の映画の話好きだったなあ。SFが好きなのと夢見るようにキラキラしている千代子の目が好きなのかも。

それはそうとして、迫真の千代子の演技で取材に来た監督は回想内の映画のお助けキャラに都度都度変わる訳ですが、カメラマンの人は変わらなくてなんでなんかなと思ったりしました。多分「鍵を持ってきてくれた」ことと、千代子を地震の瓦礫から救ったことがあるから「あなたはいつもわたしを助けてくれる」と千代子が言っていたのでわざと映画の中に引っ張りこんだのかなあと。カメラマンに関しては別に思い出や恩ないしな。ゆくゆく話が進んでいったらカメラマンも役になるかなと思ったけど。あと監督は千代子に会うまでに多分全映画を再履修してたっぽいからより引きずり込みやすかったんでしょう。

あと、千代子は絵描きとのチャンスをあらゆる場面でわざと逃してるなあと思った。「なんの鍵なのか」を千代子から宿題にさせてと言ったり、別に鍵そのものについて思案している描写もないし、汽車の中で見た新聞に思想犯として指名手配されているらしい文があり、顔も名前も確認のしようがある。その辺も絵描きそのものより「追いかけてる自分が好き」なんだろうなあと思う。顔に傷がある男が「絵描きを殺めてしまった」と言っているのを回想出来ているのになおも追いかけようとしているあたりも裏付けになるだろう。

あと時代劇の映画から出始めた謎の「千年生き続ける呪いをかけるあやかし」はわずかな老いを感じた千代子そのものでしょうね。70歳の千代子が「こんな姿じゃあの人に会えない」と言う姿とこのあやかしが重なって映ってるシーンからもそうだろうと思う。

「そなたが憎くて愛おしい」と言っているのは若くして純粋に追いかけている自分について今の自分が羨ましくて呪っているみたいなもんだろうかね。若い同担(若い千代子)に対しての妬み(どうあがいても戻れない今の千代子)みたいなかんじに見ているのかも。

 

ンハーーー……いいですね。

普通に映画見たい人からしたら「なに???」ってなるかもしれんけど、ヒラサワ推しとしてみたらわかりすぎてンハーーーってなるし、一生鼻先ニンジンでいてほしい!みたいな恋心ってあるよね。ある意味とてつもないひとりよがりだし、もはやこうしてはっきりと描いてしまうと絵描きに失礼な感情なのかもしれんしもはや顔に傷のある男に追いかけられてるのとあまり変わらんのかもしれんが、まあこういうもんですわね。ハオ。

古本の価値の難しさたるや

本の価値って難しいですよね。

物の価値っていうのは、基本的にメーカーから出されて最初に売られる場面では「材料費」「加工賃」「人件費」「それぞれ関係した場所の維持費」「消費税」という肉付けで売られている。

 

例えばそうだな、特殊なものだと著作権の工賃が入っていない新潮から出ている「星の王子さま」の文庫が引き合いに出すと面白い本だろうか。あれの文庫版だと装丁(箔押しはかなり高い)と、本文フルカラー印刷代(印刷代が高い)というなかなかリッチな文庫にも関わらず新品が528円だった。それって安いのォ?と思うかもしれない(実際のところ海外小説なので本来それを翻訳していると思うと噛ませている会社が多いから版権切れによってだいぶ安い。しかも人気作だし)。

むむ、そうだな、村上春樹の「羊男のクリスマス」の文庫も引き合いに出してみようかな。あれは確か星の王子さまよりはページ数が少なくて、しかしフルカラーで、表紙に箔などはない。これで660円である。

版権って凄いですね。まあわたしが新刊を買う時は「この本を出してくれてありがとう!またがんばってね!」代だなと思って購入している。サン・テグジュペリは亡くなっているからありがとう代を出しようがないけど、ハルキ・ムラカミは生きてるからね。頑張って欲しい。羊男のクリスマス面白かったよ。

とはいえ本は年々「高いな……」と思うので初手は中古でひとつ買い、かなり良かったなと思ったら新刊を買うようにしている。わたしは、だが。

 

それはおいておいて、第2ラウンド。

「本が中古市場に出された時の価値」について。

これがね、新刊とは全く違う尺で価値がはかられるので面白いです。

装丁がどれだけ凝っていても中古市場では「1円(プラス送料)」などという驚きの評価を受けることがかなりある。少なくとも出版されて2~3年経ったものだと「1円」の悪魔がにじり寄ってくる。

やや脱線するが、「1円」の本は買った時に中古販売元が個人情報を抜きとって取引をキャンセルされるみたいな情報あるじゃないですか。どうなんだろうと思ってこの前恐る恐る買ってみたんですが、ちゃんと送られてきました。「1円」を買う時のポイントとしては他の本がちゃんと1円以外で売られているか、評価はどうなのか、送料はどうか(本1つ送るのにはやや高いかなくらいがいい。目安3~500円くらい。しかし1000円越えは本体価格を安いと思わせるズルい出品の仕方をしている店だ……)、などその辺を気にしていればいいかなと思う。ちなみに1円で買ったのは「もったいない本舗」の本でした。「もったいない本舗」のマーケティング少し好きなんだよね。物を買うともったいない本舗のキャラクターが載ったその月のカレンダーを入れてくれるんですよ。コストが最小限なのにちゃんとその会社でまた買おうかなという気になる仕組みがいやらしくなくて良い。

 

あ、それで話を戻しますが、「1円」になった本はなぜ「1円」なのかという話をしたい。

・一大ブームが起きてめちゃめちゃ売れた結果、皆さんが飽きたタイミングでめちゃめちゃ売られたから全国的に在庫過多(当店だと年1~2冊しか売れないのに30冊くらいある本があり、本当に困っている)。これは大手古本屋とかでもあるやつ。

・店舗のキャパにたいしての冊数が多いのに売れる速度が遅い(1店舗で経営している小さい店舗あるあるです。系列店があるなら「あっちのが売れるから在庫回すか」とかできるけど1店舗だとそれができない)。

・店舗にくるお客さんとのミスマッチ(例えば当店だと大学生と主婦と通院しているご老人はそれなりに来るけど、小さい子は来ないので子供向けの図鑑とか、絵本が売れない……)。

大体こんな理由ですかね。

とはいえ、当店の買取だと「これは1円です」という事はないです。その場合は値段がつかないものとしてお客様が「ちょっといいな」と思っていたら持ち帰れるように案内するか、全く要らないというのであれば処分するかを選んで頂くかんじ。

もらう側としても1円玉もらってもねえ……ってなるでしょ。あと「1円で買い取ったから雑に扱ってもいいや」という意識をスタッフが持たないようにというのもある。ダレてくるとどうしても人間ってそうなってしまうからさ……

で、「買取の1円はわかったけど販売価格1円はなんなのよ?」についてシュルッとうまく逃げようとしていたんですが、これはねえ、当店は1円での販売をしていないからですねえ。

予想しか出来ないけど「倉庫しかない店舗で、その商品が置いてあるくらいなら破格で売って別のことにそのスペースを使いたい」というのがデカいと思いますよ。あとは「損切り」みたいな理由。

もしくはないと思いたいけど、「値段つかないんでこちらで処分しますね〜」と言いタダで入手した本を売ったりとか……そんなような話はちょいちょい聞きますね。

 

あとそうだな、何年経っても1円にはならない本もあるじゃんという話ですがあれは出回った数の少なさですね。例えば「高額である」とか「出版社が小さい」とか「増刷されなかった」とか「増刷はされてるけど教科書指定されがち」とか。あーあと、そういう本をあまり見たことはないけど「よく売れた本ではあるけど、手放す人が少ない」とかね。それ以外の理由で高い本を見たことはないかなあ。

出回った数が少なくて増刷されなくても、1円になる本はあるにはある。出版社が増刷をしなくなってからもさほど需要のない本(例えば時事ネタに関する本はその時期しか旬がない)とか、ファッションに関する本(流行が過ぎてしまえば参考にしづらいからね……)とか、医学書や法律系や資格や就職に関する本も内容がどんどん新しくなっていくので1円本になる。ニッチな医学書であれば別ですけどね。なぜか漢方医療とか鍼灸に関する本は激アツです。資格も「あんまり取らんやろ」みたいな資格の本だと資格を取るのが趣味の人に需要がありますね。

 

ところで、ネットで1円の評価を受けている本も当店で数百円で売っています。ぼったくりって言うな。理由を聞け。

・手に取って中身を見たら欲しくなる本(絵本とか、製本に凝っていてギミックのある本とか、ネットで見ていたら気付かない良さがある本)

・季節的な需要のある本(最新版ではないけど参考書として需要がある本、趣味の入口として使えそうな入門書)

・スタッフが「誰がなんといおうが名著」と判断した本(「なんでこんな本あるのwww」というものは多分だいたいこれ)

・手軽なレシピ本(レシピ本ってネット注文するより、パッとめくって「おいしそ〜今日作ろうかな」くらいの気持ちで買いたくないですか?)

追記するならネットで買った送料を考えるとわりとトントンだし、なによりその場で欲しかったものを得られるのでそれはお得ですよね。

わたし個人としては突発的に欲しくなるようなチャーミングさのある本を1円であろうとよく高値で買い取ってます。レシピも「チーズがジュワァ〜!」「材料ぶち込めばできるお鍋(ホカホカ)」「トーストだけのレシピ本」みたいなやつとかね。もはや写真や挿絵みるだけでも満足できるやつ。

 

なんか大体語り尽くしたかな。

店頭や電話で「どういう本だったら売れますか?」とお問い合わせ頂くことがそこそこあるんですが、「……う〜ん、ざっくりでいいのでどんなジャンルの本をお持ちですか?」と尋ねるのはそんな理由です。ひとことで答えるのが難しいんですよね。

哲学書です!」と言われたら「基本的にはほとんどお値段はつけられるとおもいますよ。ただ、ひとつひとつ査定するので冊数によってはお時間頂くかなと思います。かなり冊数あるようでしたら本棚とかで背表紙のタイトルが確認できる画像お持ち頂ければ」と答えるし、「就活に使ってた本なんですが」と言われたら「基本的に毎年毎年新しい版のものがでるのでお値段をつけられるものは少ないと思いますが、もし処分を前提にということでしたらお持ち込み頂いてお値段つかないものは処分も出来ますので……」となるし、「全集です!」となると「店舗のスペースが小さいので、基本的には難しいかと思います」と答えるかんじかな。

 

ゆうてあれですよ、書店員であるわたしの家の本もほとんど1円本ですよ。1冊だけ3万の本もあるけどそれ以外の本も値段で計れない価値があると思っているので。長野まゆみの河出文芸文庫シリーズとか1円のくせに全然その辺に出回ってないしさ。わたししか欲しいと思ってないのかな。めっちゃ良いのにな。おかしい。

めっちゃ映画鑑賞‪𝐃𝐚𝐲‬

めっちゃ映画を見た

めっちゃと言っても2本だけど。

年1で映画見るかどうかという人間なので今日だけでもう今年はめっちゃ見た方。

去年はRRR見ただけだったし、おととしはジョニデ目当てでミナマタを見ただけだった。

 

RRRはね、面白かったですよ。

インド映画が脚光を浴びるの珍しいな〜と思って気になってふらっと見に行ったんよね。それなりに尿意のある状態でさ。そしたら3時間あるんだね、あの映画。どのタイミングでトイレ行けばいいかなとか思いながら(しかもデカいオレンジジュースを持って)見始めたら尿意が消えるほど面白かった。

映画館でみるとインドの踊りであるナートゥの音楽がボワンボワン響いてかなり良かった。あと今までの人生でインド人という人を長い時間見たことがなかったんだけど(見たタイミングもインドカレー屋で注文する時の短い時間くらいじゃないか)、ラーマに惚れました。かっこいい。兄弟を立てる義理堅いところとかたまんないですよね。

女の子が民族音楽を口ずさみながらタトゥーみたいなものを書くシーンの曲も良かった。女の子が祈りを込めつつも楽しげに歌うかんじが日本には見られない気がして最高だったな。

多分インド映画としては、よそ行きの、全世界の皆さんが楽しめるようなアクのない作り方をしてるんじゃないかなと思う。現地人が見るアク強めなやつもいずれ見てみたい。

ミナマタはね、シザーハンズとかチャーリーとチョコレート工場のジョニデのファンタジーを緻密に再現してる演技が好きで見たんだけど、現実味のあるアル中の限界窓際社畜雑誌記者の役でね、ずっっと酒持ってる。もっさりした見た目だけどそれがまたさほど違和感なくてジョニデのことファンタジー人間だと思ってたけど見直しました。実際にあった話がベースでね、水俣病の公害をタイム紙という週刊誌に出すまでのお話で、公害が世界にバレるとまずい企業からの圧力に負けず地道に現地の方と信頼を築いて少しずつ話してもらったり症状の深刻さをなんとか写真に撮らせてもらったりしてね、泥臭い努力を重ねるのよね。スタッフロールの前に水俣病以外の実際にあった様々な公害による被害についてダラララーっとめちゃくちゃ文章が流れてね、追い切れないくらいの早さでめちゃくちゃな数流れるもんだからもう一度その部分だけを見てみたいと思った。北海道だと炭鉱での公害とかだろうか、あまり身近で感じたことがないのでなおさら調べてみたいと思ったな。あれだけどこかで見られないものかね。

 

ほんで、今回見たのが「キャラクター」と「エスター」です。最初は「キャラクター」だけ見るつもりだったけど、完全に余韻が残ってサイコパスみのある人間の違和感を見たいなと思ってダラダラ探して「エスター」を見たのよね。

 

キャラクターはね、俳優陣が豪華でしたね。邦画だから「おっ、凄い人使ってんじゃん」と思うのかもしれない。エスターは知ってる役者さんとかわかんなかったから。

で、山城という人が絵がめっちゃ上手いけど描くキャラクターに全然魅力がないと言われている人でもう辞めるか……と思って辞める最終日に雑用で「幸せそうな家族のスケッチをして素材をとってこい」という命を受けるのよね。そしたら今まさに事が終わりましたよフゥという殺人現場に居合わせてしまってなんなら犯人の顔見ちゃう。でもそれでこの殺人鬼をテーマにした漫画描いたらめっちゃ筆が進むわぁ〜〜〜ってなって、めっちゃ売れちゃう。だもんだから第一発見者として時々警察から事情聴取されるんだけど、漫画に犯人を描いたとは言えないし、なんなら犯人めっちゃ不意にオタクムーブかまして近付いてきてヒイッてなるし生きた心地しないわねというような話。なんなら漫画で架空の事件描いたらめっちゃ正確な再現度で本当に事件起こしちゃうしもう俺どうしたらいいの〜っ!?みたいな。

これの両角(もろずみ)が怪演でね、良かったです。精神を病むほどに神経質な性格や自分がやろうとしてることに関わらないものを全く受け付けない様子とかがね、とても良かった。動きも肩周りに力が入って強ばってるかんじがめっちゃ凄い。

ちょっと話変わるけどわたし過呼吸持ちでね、過呼吸って酷くなると酸素が血中に回りすぎて筋肉が引き攣れるんですよ。そうすると指先がギャッと強ばって筋が出るのだけど、その時の手の形と同じで凄いなと。両角演じる深瀬氏はメンタル的に色々あった人だったからなにがしか演技のベースにできる経験もあったんだろうな。それを違和感なく演技に昇華させるのは凄いですわ。

そんでね、この「キャラクター」を見る前に試写会インタビューとか、映画ファンのレビューとかを散々見ていたんだけど「最後がぶつ切りで小説でやっと補完出来るかんじです。映画だけだと最後がはぁ?ってかんじ。小説良かったです。」みたいなのがあって、しかし両角の「人間がからっぽであるという気持ち悪さ」はこの映画のぶつ切りの終わり方の方が際立つんじゃないかなと思った。

なんならこの「狂気」は両角にあるものではなくて、感染性のあるもので、どんどん宿主を変えていくような性質だと思うので、やはりそれならば「狂気」的には もう両角は結構で〜す、次行きます次! っていうかんじもしてなおさら別にぶつ切りでいいんじゃないかと思った。小説も買ってあるけど正直終わり方に満足してるから読もうか迷う。

 

次に見たのが「エスター」ね。なんだっけな、昔なんとなく映画の広告が載ってる本を見ていて「アンチヴァイラル」と「エスター」が両方載ってて この2つはいずれ見たいな〜 と思ってたのを思い出したんだよね。

あ、エスターのことを語る前にアンチヴァイラルの話ちょっとしとくか。まあ雑誌に載ってたあらすじ数行しか読んでないのだけど。なんか覚えてるからさ。

アンチヴァイラルはハリウッドスターとか世界的有名人がこんな病気に罹りましたという風なことになった時に、ファンが「同じ苦痛を味わいた〜い!」とかいうイカレた感想を持つような世界の話で、闇取引でそのような有名人達のあらゆるウイルスを採取して売り捌いてんのよね。主人公。かなりの金になるらしい。で、ある日主人公が自分にも割と致死性のあるとある有名人のウイルスを注射してしまうという話。終始ホラーにありがちな青みがかった照明で、そういう色の映像好きだからさ、いつか見たい。のたうち回ったり血がビシャアなるやつだったからそういうの大丈夫な人は是非。

そんで、エスターの話ね。主人公(ママ)が雪国で子供を身篭るも庭にある池の氷が割れて溺れてしまって夫に助け出されたんだけど、流産してしまうのよ。しかしその後2人の子供を授かって概ね平和な生活をしていたんだけど、まだ流産のショックから立ち直れてなかったんでパパが「孤児院から養子をもらおうよ」と提案して、いやに口が上手くて画才のあるエスターを引き取る。

このエスターがね、本当に気持ち悪いですね。なんだろうな。これ本当に子供の演技なんか?という。人生3周目くらいで余裕ぶっこいて生きてるんじゃないかというくらい不気味な演技が上手い。どうやって役作りしてるんだろう。

あとマックスという天使みたいにかわいい妹がおりまして、めっちゃ部屋がキティーちゃんに溢れてるんですよねwキティラーなのかなwww

マックスは純新無垢で本当にかわいらしいです。グミみたいなぽよぽよしたほっぺたもふわふわの髪の毛も小さな動きもかわいいいいい。たまらん。

何を言ってもネタバレになりそうなので何も言えませんが、割と最近エスターの前日譚が出ましてね。まだ見てないんですが当時エスターを演じた女の子がまたエスター役で出てるんですよ!!!!だいぶ年月が経ったにも関わらず、メイクのちからなのかわからないですがほとんど変わらぬお姿で出られているようでそれもまたヒエッてなりましたね。

エスターはゆうて洋画なので世界観がしっかりと染みてくるわけではないですが(病院にセブンアップの自販機があるとか、晩ごはんにステーキが出るとかね)己がとぼけながら強かにやってしまっている無邪気なすっとぼけみたいなものにわずかなエスターみを感じてしまってヒッてなります。今日寝たらめっちゃ悪夢見るだろうなってかんじ。

 

なんかさー、こういう人格が逸脱していて己のやりたいことをやった結果人が死んでしまいましたよみたいな話好きなんですよね。

あ、あとCUBEのサヴァンのめっちゃ計算が早い子も好きです。人が死んだらキャーッてなるのに無垢過ぎて「……?」くらいの気持ちにしかならないみたいな役。

極端な性質の人間にある強烈な違和感というんでしょうか。

ヤバい人間を駅で見かけて出来るだけ空気と同化してやりすごすことが日常にあるだろうけど、あの違和感って言語化するとなんなんだろうかと思う。声量とか、身体の動きの強ばりとか、身なりが著しく周りと違うとか……そういうのを面白いとかではなくてしっかり観察してみたいなと思うんですよね。そういう違和感もよく見たら秩序があるので。

まあなんかそういうことを考えるのが好きなんだ、わたしは。

 

あ〜〜〜明日アマプラにアンチヴァイラル入ってるか見よっと!ご飯食べながら見る!

案外危機感溢れるシーンで一緒に緊張しながら飯をかき込むとめっちゃ早く飯が食えます。今日はキャラクターでサンドイッチとティラミスを、エスターでカツ丼を食べました。純粋に食に向き合うのが苦手な人におすすめです。

だれかサイコパスみのある映画教えてください。わたしの食欲を保つ為に。

 

ほんじゃね〜

そういえば今年もよろしくね〜

2023年終了のお知らせ

すっかり年末ですね

「盆と正月がいっぺんにくる」という言葉がガチャガチャしてて好きなんだけど、クリスマスから年末年始にかけての高揚感はこれに近いような気がします

クリスマス市に何度か行ったけど結局今年はサンタさんに会えず、クリスマスが始まった気も終わった気もしないまま年末のフェーズに入り気持ちが置いてけぼりになっています

もうね、来週からクリスマス始まっても全然受け入れられる。クリスマスプレゼントの再配達などどうでしょうか、サンタさん!!!

 

年末、ということで今年を振り返ろうかなと思ったけど今年はあまり何もない年でした

というのも交友関係でかなりプライベートが左右される質でして、ウェイウェイ!フ〜!フ〜!という友人とよく会っていれば日常にウェイが出て、思慮深い友人と会っていれば日常をミクロな視点で見ることにハマって、というようなリトマス紙のような人間なので誰とも接していなければ無なんですよね

おととしはウェイの友人とあっちゃこっちゃ行っていたので爆裂に強い肝臓と「芸術は爆発だ!」という気持ちで生きており、他人から見て一種の輝きを纏っていたなと思う。

前年は思慮深い大切な友人とわちゃわちゃしていたので生活の中に存在するあらゆるものや人を大切に見てお互いにフィードバックをしたりして己の思慮深さを練り練りしていたのですが、その友人が遠くに行ってしまいまして時々連絡をとってはお互いに「アイミスユー」と言い合うくらいのものになってしまいました。

このふたりが居なくなってしまったからね〜人生が暇で暇で仕方ない。やりたいこともないしさ。

 

そんで、なに、2024年になるって?

別に抱負も希望もなんもないな。

あ、ウノやりたい。知ってる?ウノ。

普通のウノのすごい版が出ててさ、大富豪でいう「革命」が出来るウノとか、ワイルドカードばっかりのウノとかがあるんだよね。それをやりたくて。

でもさ、友達がいないからさ、全然出来ないのよ、すごいウノ。

2024年が終わるまでにこのすごいウノが出来なかったらその後はもう滅亡した人類の中でひとりだけ生き残った人間の気持ちで生きます。さようなら人類。

 

PS:かなりどうでもいいのですが、今は無き実家のブラウン管のテレビの上に「さようなら 小樽運河」というデカいステッカーが貼ってあったんですがなんだったんだろう、あれは。

実家の意味わからんシリーズで言うと子供部屋に「ゆるさん!」と白地に筆文字で書いたデカいポスターも貼ってありました。なんなのこの家。メッセージ性出すなよ、こわいから。

接着剤のすゝめ

皆さん、接着剤使ってますか?

多分わたしは色々な工作に触れてきたので接着剤について少しは詳しいです。少しはね。

なのでこれにはこれだろ、というコスパが良い接着剤をまとめてみようかと思う。

 

▧紙同士の接着

手でたわませられるくらいの薄い紙同士ならテープのり一択だと思う。100均の幅が狭くてなるべく長く入ってるやつでいい。紙に対して糊を塗るというのはそもそも塗りすぎたり、塗りが甘かったりして水分で紙が波打ったりくっつかなかったりしてかなりセンスがいる作業だと思う。そのような不器用な人にも、急いでて早く塗って早く乾いて欲しいみたいな場面にも良い。はみ出しても後から消しゴムをかければ概ねベタベタはとれるのでもうとにかく全人類に勧めたい。

しかも糊ってさ、蓋の中ベタベタになるじゃないですか。あれを取るのが好きな人もいるでしょうけれども、あれで「うわ、汚ったな……」となることもあろうよ。しかしテープのりはそういうのがないのでストレスフリーです。ペンケースの中で爆発して災害を生むこともない。

あ、もうひとつテープのりを買うのであれば、蓋が完全に取れるタイプではなくて上にポコッと止めるタイプがいいですよ。取れた蓋はやがてどこかに旅立ってしまうから……

 

しかし、紙の接着でまあまあメジャーなのはスティックのりではないだろうか。

あれは乾くまでが貼りはがし出来るメリットがあるものの、剥き出しになってる糊の面がめっちゃ汚くならないですか。ふつうに乾くし。

両面テープよりは長期保管の際の耐久性がマシなのでテープのりがなくて、スティックのりか両面テープしかないよとなった時に半年以上長く貼っていたい場合はスティックのりにする。が、まあコンビニでも売ってるからさ、テープのり。スティックのり使うなら買いに行くかもしれん。

両面テープってそんなに駄目なんですか?という件については本当に「長期保管に向いてない」という点に尽きる。接着剤プラス何かという組み合わせのもの(セロテープとかもそう)は日光による変質がめっちゃ凄い。紙の下に貼ってるんだから両面テープは大丈夫だろと思うかもしれないが、全然透過してペァペァになる。詳しく言うと接着剤自体はくっついているのに間のうっすい不織布みたいな部分からメロロロ……と剥がれる。セロテープも上のセロファンだけがメロロロ……となる。信頼できない。

 

厚紙の接着はどうなんだという部分だが、厚紙ならボンド系のものを薄く伸ばすのがやはり安牌だ。厚紙なら塗りすぎて紙がたわむとかないからね。すぐ下に紹介している木などの接着とほぼ同じとみていい。分厚い紙はもはや薄い木みたいなところがあるからね。

 

▧木などザラザラのもの

100均のチューブに入った多用途接着剤が無難。あるいは100均にあるクラフト小町が良い。

100均には皆さん馴染みのあるボンドもあるのだがあれはボンド部分だけがしっかり硬化しているのにくっついてほしい部分は力を入れたらメコッと取れるみたいなことがまあまあある。

プラスチックを含まない基本的な工作においては上記の多用途接着剤一択というところに落ち着いている。ちなみに100均でノーブランドの瞬間接着剤を買うと出た瞬間に接着が始まりただプルプルのなにかを塗りつけているみたいになるので2023年現在は100均の瞬間接着剤は信用出来ない。

しかしもし余裕があれば暇な時にホーマックとかの大工用のコーナーに行きDCMがプライベートブランドで出してるチューブタイプの多用途接着剤をひとつ買っておくのが一番良い。「木とプラスチックなどの異素材にも」と書いてあるやつが一番使い勝手が良い。今年はクリスマスリース松ぼっくりをそれで無理やりくっ付けたのだが接地面が少ないにも関わらずめちゃくちゃしっかり着いているので信頼出来るなあと思っている。

 

▧木とプラスチック・ゴムなどの接着

趣味で少し前に消しゴムはんこを狂ったように作っていたことがある。それはもう腱鞘炎になるレベルで作っていた。

で、消しゴムはんこは消しゴム(ブヨブヨ&つるつるしていて接着が難しい)と木のハンドル(ザラザラしていてブヨブヨの可動性とは相性が悪い)をつけるのがデフォルトなのだが、これが多用途接着剤でも難しい。

妥協案として粘着ゲル付きの強力両面テープを使うに至った。ヤモリテープとかそんなやつね。これで消しゴムのブヨブヨした可動を粘着ゲルのグミ感で緩和してなんとか木材のハンドルにつけられるに至った。さりとて2年使うと木くずがテープについてポロッと取れるのはもう致し方ない事態だと思っている。どうしても消しゴムはんこを確実につけたいというならば消しゴム(樹脂)と近い素材のものをつければいい訳で例えばプラスチックの台座をゲルのテープでつければいいと思う。

プラスチック用の接着剤だとプラスチックを溶解してくっつけることになるので消しゴム部分がおそらくどうしても傷むだろうなと思うのでこれについては両面テープしかないと思う。

 

▧プラスチックを付ける

これがね、まだしっかりと決まってないジャンルで。

割れたプラスチックって何でくっ付けても強度が劣るよね……という。あと、瞬間接着剤でくっつけると地の色に関わらず白く粉を噴いたように変色するのがギエ〜と思う。

う〜ん、う〜ん……今んとこ最適なのは貼っても目立ちづらい透明なセロテープ(そういうやつがある)で応急処置的にとめるくらいかなあ。強度の面で多分プラスチックには支えになるものがないと接着が難しいと思うのでセロファンに頑張ってもらうしかない。

 

▧割れた爪

これは良いのか微妙だけど、わたしはこのようにやりましたよというものとして聞いてくれたまえ。

まだ血が出てないけど、この割れが進んだら確実に全て終わるというタイプの割れ爪になった。

この時はスコッチの強力瞬間接着剤を薄く二度塗りして完全に乾いたら上をやすり、ネイルハードナーを塗った。やはりこの時も瞬間接着剤が白く粉を吹いたようになるのだが、ヤスれば多少マシになり、その粉をしっかり取って上からハードナーを塗れば本当に目立たない。あまりに割れてる部分が目立つならオフィスネイルみたいな薄付きのピンクのマニキュアを塗れば完璧である。

ここまでやると割れ爪をぶつけても痛くもない。すごい。

爪が復活するまでに二度接着がやや剥がれてきたので都度自爪に届かない程度にコーティングをヤスってまた元のように瞬間接着剤を塗布し直してハードナーを塗った。これにより穏便に割れ爪が排出できた。

我が親は差し歯が欠けた時に「プロレスラーもやってっからよ!」と言いながら瞬間接着剤で歯を接着していたが私にはその勇気はない。

 

ここから下は不確定なものだ。なんせまだ接着したことがないものを今までの経験から「こうだろうな」と思いつつあげるので。

 

・陶器

割れた陶器であればざりざりした面を瞬間接着剤で接着し、乾いたらひびをやはり瞬間接着剤で埋めて2000番以上の目が細かいやすりで研磨するのが無難だと思う。しかしずっと水につけたりすると接着剤に含まれる樹脂と陶器の土に含まれる収縮率が違うのであんまり水に触れないものならばそれでいいかなという程度

 

・レジンで硬めるタイプの接着剤

難しい。これは。

そもそもレジンの話をしたい。

従来のクラフトに使われるレジンには紫外線硬化型のお手軽レジンと二液製レジン(A剤とB剤を入れて混ぜて硬める)がある。で、おそらくこの接着剤は紫外線を当てて硬化させるレジンとほぼ同じなんだと思う。

まずどちらのタイプのレジンであれ、わずかに気化しているし皮下吸収される。これを吸い込むと重篤なアレルギーが出るので基本的に素手で触ったりメガネやマスクをせずに扱うことは全然おすすめしない。しかしこういうものは手軽さが重視されているから大体の人はそういう防護はしないんだろうなと予想される。なのでマジで配慮しながら扱ったら全然手軽じゃないというのが一点。

次に紫外線硬化型のレジンの脆さについてだ。これはなんとなくこういう理由なんじゃないかなと思うだけなので別の理由かもしれないが、二液性レジンは液同士の反応により固まるので同じ成分が付着することがその先あるなら別だが、そんなことはほぼないのでまあそこそこの強度がある。じゃあ紫外線硬化はというと、蛍光灯からも微量な紫外線が出ているし、ましてや外なんかはふつうに紫外線が当たるので変質しやすいんですよ。イメージとしては化粧品の汚れ(油分)を落とすのにオイルクレンジング(油分)で汚れを動かすみたいなものに近いと思うんですが、割と車のボンネットにレジンの作品を置いていて溶けたとか、黄変したとかがかなり多くてそうなると多かれ少なかれおそらくはレジンで硬める接着剤もこれがあるだろうと思う。

使うとしても、硬めた後に少しでもベタベタするなと思ったら早急に食器用洗剤で手を二度洗いしてくださいね。シャレにならんので。。

 

・ごはん糊

これは使ったことない訳ではなくて何にも適してないと思っている糊です。この前市販されていてギョエと思いました。安全性を謳ってあったんですが、別にお子様用でそこまでヤバい糊ないだろと思う。

ご飯を水を加えてややシャバシャバかなくらいのかんじになったら練ってつくる糊なんですが、要はでんぷん糊ですね。フエキ糊とかそういうのです。

幼少期にこれを図工の時持たされていて悲しい気持ちでこっそりこっそり使っていました。

乾燥による収縮率がかなり高いのとでんぷんの硬化でカピカピになるのでなるべく使いたくなかったアイテムですね……

ザラッとした紙の接着や水分を吸収してくれそうな面があるものは接着出来たかなあと思います。重さがあるものとか硬いもの同士は動かすとぶっ壊れますがね。

 

……まあなんか最後が微妙なアレになりましたが皆さんの人生の中でいつか参考になれば幸いです。