大人になってからのお食い初め

時々ポロリするのですが、そこそこ貧しい家庭で育った人間である。それはそういう性質というだけで「😟」という顔をしてほしいわけじゃない。

じゃあなにかというと、外食といえばロッテリアと稀にモスくらいしか行ったことがなく、その他どえらい金持ちの生まれだった祖母に喫茶店やファミールというファミレスやヴィクトリアとかいう定額で無限にコーンスープを飲んでいい店に連れて行ってもらったくらいだった。だから大学に進学するにあたり己の金で好きな外食をしてもよいという場面で初見の料理を数多く見たり食べたりしてそれがなかなか面白い体験だなあと思った。

なんというか、ある程度人間として出来上がってから美味しいものや知らないものを食べるとぼんや〜り美味しいなあ好きだなあと思うより「知識」で蓄積されるなあというかんじがしたのだ。貴重な機会にディティールを観察しまくろうみたいな心情ですかね。これは他人から見て面白いのかどうなんだと思って試しに「成人してから食べて美味しかったもの」を書いてみようと思った次第である。

 

・オクラをめんつゆに漬けたやつ(浅漬けなのか?)

学食に小鉢で出てきたと思う。そもそも家の人間たちが「出されたものは残さないが、嫌いなものはそもそも食卓に出さない」という思想であったため食卓にオクラが出なかった。つまりわたしは「当家系で初めてオクラを美味しいと思った人間」なのである。

野菜なのに加工せずともネパネパしていて、種のぷちぷちとした食感も面白く、めんつゆ以上に味付けをすべきではない個性がオクラにはある。

時々冷奴に輪切りのオクラをのせてあるお通しが出たりするが、オクラがのっているというだけでありがたい。一緒にのっているかつお節のファサファサ感はどうでもいい、オクラをのせる親切心がありがたいと思っている。

揚げ物でもオクラってあったような気がするけどどうなんでしょうか。あのネパネパ感とぷちぷち感があるのであれば食べたい。

 

・揚げだし豆腐

これも学食でなんとなく小鉢に入ってあって、友人と一緒にそれを食べた時に「こ、これはなんという食べ物ですか?」と聞いて名前を知ってから学食の日替わりメニューに揚げだし豆腐の文字がある日はウキウキでそれにしていた。

味付けがめんつゆで済むものが好きなのかもしれない。

ジュワ感があるひたひたの揚げだし豆腐もいいし、衣にこだわったちょいサクの揚げだし豆腐もいい。不味いカレーと同じくらい不味い揚げだし豆腐はないと思っている。

 

・カプレーゼ

文字面や写真で見ただけでは全く伝わらない美味さがある。

適当にバル的な所での飲み会でテーブルにありがちだが、モチモチした丸いチーズとジューシーなトマトの汁気とバジルソースみたいなやつが全部正解。

必要最低限の食材とそれでいて美味しい料理のグラフの交わる点にある料理。なんかあの、ミニマリストみたいな料理。

大学のゼミかなんかの飲み会にあって、飲み会自体はクソおもんないかんじだったけどカプレーゼは美味しかったので存在を知れて良かったと思う。

今では飲み物より先に頼みたいくらいカプレーゼが好きである。

 

・ニンニクの芽を焼いたやつ

見た目が完全に「にらたまのニラだけ」みたいなやつである。飲み会で暇だなと思ってつついてみたら美味しくてバクバク食ってたら天罰かなというくらい腹が痛くなって意味がわからなかった。なにこれ。

未だに許せない。美味しいのに食べたらお腹痛くなるってなんなんですか???

 

皿うどん

これは小学生の時に食べて衝撃が走ったものである。忘れもしない。

友人宅で「夕飯食べていきなよ〜」と言われてぽこぽこ観察しに行ったらデカいベビースターラーメンにタレがかかってて「え?飯としてベビースターラーメンは認められるのですか?」と思った。

めっちゃ美味い。口の中怪我しまくりながらパリポリ食べるのが楽しい。あんかけでだる〜んとなっているのを食べても時々思い出したかのようにパリポリしている部分があってやはり楽しい。家に帰ってから「皿うどんというやつ作ってよ!」と言ってみたがついに登場することはなかった。多分コスト的な問題ですね。

 

・ササミを紫蘇でくるんで揚げたやつ

あれってなんていうんだっけ。あわよくばチーズなんかも入れちゃってるアレ。

これもめんつゆで食べるのが最適解だと思っている。醤油で食べるよりもチーズの風味や紫蘇の風味が消えなくて良い。味はさっぱりしているのに意外と胃もたれはするので少し納得がいかないが食べ物の味としてのさっぱり感レベルが結構高いので好んで食べている。

 

・カラオケのポテト

やたら味が濃いし揚げすぎだよというあれ。美味い。

カラオケは成人するまで行ったことがなくてそこまで行かないと「いつどのタイミングで行くべきなんだろうか」と思って誘われるタイミングがあっても「今カラオケに行きたいという強い動機はないな」となり20代後半まで行かなかった(詳細に示すならば26歳まで行かなかった)。

ドリンクバーの薄いジュースはなんのコメントもない。しかしながらあのポテトは素晴らしい一品だ。どのファーストフードにも似たものはない。映画館のポテトは味が近いがシナシナベチャベチャなのでやはり遠い(あのシナシナベチャベチャで全てがひとかたまりになってるポテトも別のものとして好き)。

カラオケはどうでもいいけどあのポテトだけテイクアウト出来ねえかなと常に思っている。音痴だし選曲めんどいからさ。

 

・ばくだん丼

オクラと納豆ととろろが入っためっちゃかき混ぜて食べていいなんともお行儀の悪い食べ物だ。なんかめんつゆみたいなのをかけて食べる。

やはりめんつゆが好きなのかもしれない。ちなみに鰹だしよりも昆布だしのやつが好きです。合わせだしのやつはどっちかにしろよと思いながら使ってる。

汁気のあるものとご飯の絡まりが素晴らしい。ソース多めのパスタみたいな有り難さがある。

 

・ねぎトロ丼

魚を粉々にした塊に多少とろろがのっていてワサビがこってり添えてあるあれ。これもめんつゆみたいのをかけますね。昔職場の近くに「THE丼」とかいう雑な名前の丼屋があり、なんにも考えずにただただ飯を食べたいという時にふらふら入って食べていた。ねぎトロ丼は不味いねぎトロ丼が存在しないので助かる。安心安全が保証されている食べ物だ。

「かつや」のカツの味があまり好きではないんだけど、苦し紛れにねぎトロ丼を注文したらまずまずの美味しさで安心したことがある。

 

・塩パン

これはなんというか別に貧しさとは関係なくてなんか塩パンブームというのがあったのでどうなんだろうと思って買った。それほど大きくないシンプルな見た目なので2個くらい買ったろと思って買って食べたんだけどこれはガチャ要素がある食べ物ですね。

もっとも美味しいやつは焼きたてで外がカリッとしていて、かつジュワみがあるものなんだけど、このジュワみが特に時間や店に関係なく完全にガチャなので(わずかに排出率は異なる。やはりガチャである)とりあえずパン屋に立ち寄ると2個は買うようにしている。

イソップベーカリーの塩パンが今のところ割とすき。塩パンの上にざらざらと塩をまぶしてあるのでガチャ失敗してもしょっぱくて美味しい。

この前初めてボストンベイクに行ったらバジル塩パンがあってそれも美味しかったな。

 

・チャイ

昔しゃらくせぇ男と交際していた事があって、なにがしゃらくせぇかというと死ぬほどスパイスを持っててそれはいいのだが紅茶も茶葉を死ぬほど持っていて、自炊をしない我が家に泊まった翌日に色んなフルーツをのせておしゃれなグラノーラを作ってくれていたのだ。クッソ朝にリンゴをしょりしょりむいている後ろ姿をみながら「しゃらくせぇな」と思った。有難いんだけどさ。

で、冬になるとうちのキッチンに数種類のスパイスと数種類のお茶っ葉を置いたのでなにかと思ったらミルクを煮出してチャイを作ってくれたのだ。よくみたらルピシアの茶こしも置いていった。ルピシアの茶こしは目が細かくていいらしい。わざわざ自炊しない人間の家にこれらを用意してチャイを煮てるのしゃらくせえな〜。しかしこれがめっっちゃ美味しくてたまにわたしも真似をして作る。

しかし作るのも洗い物などがまあまあめんどくさいので隙あらば喫茶店やシーシャバーで飲もうとする。チャイって色んな味がして美味しいよね。

 

挙げてみるとこんな量か、エピソードとしてはあんまり多くないですね。なんか忘れてるだけかも。

なんか基本的にどの飲食店に行っても「これは頼むとして……」の「これ」にあたるものには大抵なにかのエピソードがあるのできっともっと沢山ある。あ、クラムチャウダーとか。もういいか、うん。

まあそんなかんじです。