奇異の目で見られることが嫌いである。
ちょっと他人が自分のことを見てきた時間が長かっただけで
「え、なんか変ですか」
「なにか常軌を逸したゴミとかが背中についてたりしますか」
「周りの人は優しいから言ってくれないだけで変な行動や動きをしているのですか」
「もしくはわたし以外の人類は知覚している部分で変ななにかがあるのですか」
など本気で思ってぎくしゃくした動きになり、それとなく背中を払ってみたり身体の一部始終を観察しないと気がすまなくなる時がある。まあまあの頻度で。
むしろそのように不安を払うための動作の方が変な動きであるとはわかるがどうしたって不安なものは不安なのだ。
そのような気持ちになった時は思いっきり奇天烈な格好をして生活圏ではないところへ出掛けて旅人のように振る舞い、「ここの土地の人間ではないので違和感があっても当然でしょう」という心持ちを(それが虚勢による嘘でも本当でもいいので)持つようにしている。
そうすると奇異の(ように見える)目にも「まあ派手な服着てるからそのせいでしょうね」と全ての違和感を自分が狙ってセッティングしたものに押し付けられる。本当に背中にとびきり変なゴミがついてたとしてもね。
そして旅先で出来るだけ変な服を買う。とびきり自分に似合うやつを。
すると、帰ってきてからその服を纏う度にまた「あの地では流行っているものだけどまああなた方には理解が及ばないでしょう。当然です、これは他所の地のものなのですから。あなた方は決して纏うことがない服です。」と強気でいられる。
もちろん素直に誰かから「うぎゃー!かっこいい!それはどうやって見つけたのですか!」などと言われたら「ふふん……これはですね……」と満更でもない顔で答えるだろう。なんかこうしてみるとプライドの高さと劣等感が混じり合っためんどくさい性質だなあ。
しかしこうすることで病的な部分とはギリギリ上手く付き合えてるんじゃないかなあとも思う。少なくとも酷くなれば買物依存や醜形恐怖やもっと病的ななにかになるような思考回路である中で、どれでもない状態を保っているので概ねよくやっているんじゃないかと思う。
GWにハチャメチャな連休が出来てしまい、過ごし方がわからないのでとりあえずまた他所の地の人としてどこかに旅立つ予定である。家でめそめそと篭っているとどんどん「わたしっておかしくないかしら」というバイアスがかかる気がするからね。
これがGWの過ごし方として正しいかどうかは置いておいて、たまにはそのようにして強い心を取り戻す必要がある。わたしには、ね。