本に惚れる

誰かの本のラインナップに惚れるという出来事は本屋か古本屋の店員特有のものなんじゃないかと思う

そうでないのなら周りに「書棚のスタメンが決まっていてスタメンではない本はすぐに処分されているため部屋が綺麗」な知り合いが多くいるとかだろうけど、それはかなり無理がある

なぜなら書棚を洗練させるまでに地面まで蔵書をバーストさせつつ読んだりしなくてはその境地に辿り着けず、バーストモードになると人を呼ぶ隙間のない部屋になるからね

基本的に結構本を読む人はみんな部屋が散らかっているよ

 

そんなわけで時々「この人はいい本持ってきてくれるんだよな」という人がいる

出勤にぶち当たると別に己がその人に蔵書をもらったわけでもないのに「やっぱこのお客様最高だな!」とにやにやしながら勤務している

「いい本」っていうのはわたしにとって、ただ高く売れる本ではなくて「ああ〜いいよねそれ」とか、「それ知らんかったけどめちゃくちゃええやんけ!なあ!そういうのもっと教えてや!なあ!どう生きてたらそれに気付けるん?」とふつうに本を通り越して人への興味になってしまうような本だ

まあ人に興味持つの良くないよね

たまーにツーカー(死語)になったお客様には「この人わたしも好きですけどここまで集めてる方はお見かけしたことなくて、どうやって集めてるんですか」などと聞いたりする

だけども誰もが結構「なんかこのジャンルめっちゃ好きなんだよね(要約)」で終わり、「ははあ、なるほど」という解を持っておらずそれだから余計にその人そのものが気になってしまう

多分ねぇ、僕は幼少期はこういう本を親から読まされていてそれに隠れてこういうのを図書館から借りてこっそり読んでてお年玉でこの本を買ってからズルズルこのジャンルにはまって高校の頃に聞いてた曲があの小説を元にしてたんでそれもちらっと読んでたり……くらいの分量で聞かないと「ははあ、なるほど」まで辿り着かないような気がしている

 

ちょっと横道にそれるけど「あなたを知りたい」という言葉って恋愛の一部として出てくること多すぎじゃないですか?

しかもなんなら性のぶつかり合いをお前とやりたいんですが理由は「あなたを知りたい」からなんですみたいなやつ〜

どうでもいいですがわたしはあまり恋愛と「その人を知りたい」欲求はイコールにならないんです。本当にクソどうでもいいですが。

知らん部分あってもええやんええやん!必ずしも恋愛的な好意を抱いた人全てを知ろうとする必要なくね???と思っている

だけども「この人を知りたいなあ」と思うことは恋愛感情とは別で存在してて、それがさっきまでウダウダと言っていた「本に惚れた人」なんですよね

完全なる知的好奇心によってあなたのバックボーンを知りたいなあと思うかんじ

しかしよ、素晴らしき本たちの栄養分を吸って緻密に構成された人間に軽々しく「あなたの本が気になるので友達になってくれませんか?」はどうなんだ?

敬意があるので友達っていうのも結構おこがましいんじゃねえのとなっちゃう。が、フラットな関係性って何だべ?と思った結果「友達になりたい」になっちゃうのよね。

というかそもそも「友達になってくれませんか?」って何?新手の変態か?それより大人って友達作るのこんなに難しかったっけ……?ウ…ウ……(死)

 

そんなこんなでいつかご来店されなくなるか、なんだかよくわからんけど仲良くなって「そんな事思ってたの?ウケる〜」となるかのチキンレースを色んな人と定期的に過ごしている、つもり。普通にいつかみんな本を整理し終えて来なくなってしまうからもう完全に一人相撲の負け戦ばかりなんよ。

今日も「ああ〜お友達になりたいな!!!!」ってめっちゃ言いながら査定をしているよ!どすこい!