クトゥルフについて問い合わせてくれた女の子へ

気付きようがないと思うんだけれども、いつか気付いてくれたらいいなーと思って書店員に少し文を書かせてください

先日お母様といらっしゃって「クトゥルフ神話についての本ありますか?」とお問い合わせ下さってありがとうございます

実はうち(わたしの家)に1冊あって、たしかクトゥルフ神話の3巻なんだけれどももし気付くことがあればまたお問い合わせ頂きたく…!

 

それで、レジに持っていらした本が「そ、それを読むの!?」という本だったけれど多分あなたが読むんだろうなと思ってゆくゆくさらに面白い読書ライフを送れるように少しわたしが知っている本の中からおすすめさせてください

 

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クトゥルフ神話寄りの本】

クトゥルフの気持ち悪いところが好き

水木しげるとかどうでしょう。漫画なんだけれども結構気持ち悪めな描写が多いです。

あと、「ミノタウロスの皿」という藤子F不二雄という人が描いた漫画もちょっと気持ち悪い。

もうひとつだけ、また漫画なんだけれども手塚治虫ブラックジャックに収録された「人面瘡」のお話もウワ-ってなります。腹に人間の顔の形(しかも喋る)の腫瘍ができた人のお話です。手塚治虫ロボトミー(脳をいじって人格を変えてしまう)についての作品も出してたな、確かアニメ版では放送禁止になってしまったんだけど漫画ならあるかもしれません。ちょっと思ったんですがブラックジャック結構おすすめかもしれません。双子で生まれるはずの子供がもう1人の身体に腫瘍として収まってしまってその子を助けるお話とか。

 

・架空の生き物が出てくるのに妙にリアルなところが好き

ハラルト・シュテンプケという人が書いた「鼻行類」という本とても良いですよ。今は当店に在庫ないのですが、架空の動物の生態やらどんなところに住んでいるのかやらをまるで論文のようにまとめた本です。この本に登場する全ての場所や植物や周りの生き物全部が架空。学者から見ても書き方はしっかり論文のように仕上がっているらしいです。

ブライアン・オールディスの「地球の長い午後」も在庫はやはりないのですが、世界をまるっと最初から作ったくらい多くの架空の生き物が出てきます。その世界には人間もいるのですが、めちゃくちゃ弱くて小さくて知能も退化していてまるでアリくらいの存在です。キャラクターが多すぎて大変ですが多分読める気がします。

あと、タイトルなんだったかな、中国の妖怪の図鑑が入荷したんです。中国の妖怪ってキョンシー以外あんまり有名じゃないけど悪魔とか日本の妖怪とは違ったジメジメしてて怪しい雰囲気があって良いですよ。

和風の不思議な話の漫画でもいいなら「蟲師」とか「モノノ怪」も架空の生き物を退治したりしなかったりします。

 

【多分好きじゃないかしらというジャンル】

・思考実験系

テセウスの船(船を修理して新しい部品をつけていったらやがて元の船とは言えなくなるんじゃないか。もしそうだとしたらどこで元の船ではなくなるのか。)」とか「無限ホテルのパラドックス(無限に人が泊まれるホテルが満室になったら、みんな隣の部屋にずれてくれたら一室空くんじゃないか)」とかがそこそこ有名。

「よくわかる思考実験」という新書があるのだけど、もし思考実験気になったら読んでみると面白いと思います。基本的に自分の中で答えを見つけるクイズみたいなものなので誰かと こうじゃない? と話してみると結構盛り上がります。

 

フロイトの心理学

色々な人が心理学について本を書いているんですが、修学旅行の時にフロイトの本を立ち読みしてなんだか面白くて安くもないのに買った記憶があります。人間はよく気にしてみたら「無意識」にめちゃくちゃ動かされていて、自覚できている部分ってかなり少ないんじゃない?それを行動と今までの出来事から考えてみましょうみたいなかんじのやつです。

ユングフロイトと並んで出てくるのですが、こちらは夢占いのベースになっていたりしますね。ユングは個人的には言ってることが簡潔すぎてちょっとだけ読めばもういいかなってなったり、わたしはそうは思わないけどなーというかんじだったのでそんなに強くはすすめないです。

 

・品田遊の本

心理学系ってめちゃくちゃ広い領域を誰にでも当てはまるように言っているものが多いので、逆にめちゃくちゃ狭い範囲でちょっとの人にしか当てはまらないものを選びました。

品田遊は重箱の隅をつつくようであり、ちょっと生きるのが下手な人なんだけど、ちょっと失敗したなとかちょっとモヤモヤするなというのを文字にするのがめちゃくちゃ上手いです。

全然何言ってるかわかんない文の中にわたしだけがわかる!みたいなエピソードが多分あります。多分ね。

 

土居健郎「甘えの構造」

ちょっとタイトルの「甘え」っていう言葉に語弊があるんだけど、日本語には存在しない言葉だから一番近い「甘え」という表現をしているみたいです。「馴れ合い」という言葉のほうがわたしは近い気がします。馴れ合いをちょっと出すことでお互いが「友達だよね!」とか「同じ学校だよね!」とかそういう同じグループにいることを認識して安心したがるみたいなことなんですが、日本人にしかないんですって。本当かしら。

わりと読みやすくて「まあ言われてみればそうね」という本です

・国分啓一郎「暇と退屈の倫理学

「暇」って人類がそんなに栄えてなかった頃は存在しなかったんじゃない?だとするといつ頃どうして「暇」と思うようになったんだろうというお話。

狩りを楽しむハンターは動物を得ることを目的としているけど、そんな彼らに最初から動物を与えたら気が済むのか?本当は動物を得るか得られぬかもわからない退屈な時間を楽しんでいるんじゃないか?

という内容が「あーまあそうだな。というかそもそもそれを言葉で表せるのすごいな。」と思ってよく覚えています。

 

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フゥ、以上です。

なんだかよくわからないけどなんとなくわたしも似たものを読んでるなと思ったので夜更かしした頭で思い浮かぶものをざっと挙げてみました。

どこかしらで本を探す時やまた来店された時の参考にしてみて下さいな。それでは、おやすみなさい。