香りから思い出す無人販売の思い出

シャンティブックスさんに行った。

前にも一度行ったことがあるのだが、その時はコロナ禍全盛期だったのでどこも店を閉めていて一時的に仕事がない時期だった。もはやちょっと懐かしいね。

で、買い物で暇つぶしするにも商品棚がスカスカのドラッグストアしか開いてなくてめっちゃ暇で「世間ってつまんないわね」など思いながらとにかく散歩をしていた。

そうしたら店の前に「野菜の無人販売」みたいな趣で本一冊100円と書いてある段ボールがいくつかと貯金箱が置いてあった。

わたしの田舎はクッッッソど田舎だったのでギリギリとなりのトトロに出てくるキコキコやる井戸があったりボットン便所があったりした。それで一度近所で畑を耕して出来た作物を小屋に入れて同じように無人販売しているのを見たことがある。

べらぼうにトマトが好きだったのでそこのトマトを買おうとフンスフンスしていたら耕していたおばあさんが「そのトマトはケチャップに使う酸味が強いやつで、そのまま食べるならこういうのもあるから持たせてあげるね」と様々な色や形のトマトを持たせてくれた。買おうとしていた酸っぱいトマトはアイコというやつで、帰ってから親と「おお〜酸っぱい。こっちのやつは黄色いのに甘い。」とか品評しながら食べた。

かなり腰の曲がったおばあさんだったので何年か後に見に行ったら無人販売の小屋が朽ちて無くなっていた。

 

それで、シャンティブックスさんの無人販売を見てたらそんなことを思い出していたのだけど片隅にいい香りのお香が焚いてあって「確かにここに人がいたんだな」と思って人の居なくなったあの頃のわたしにはじんわり沁みた。

 

今日はナチュラルにやることがなくてまた散歩していたんだけど、「そういえばシャンティブックスさんやってるじゃん」と思って見に行った。

店の前の無人販売スペースはそのままに店内も営業していたので入ってみたらやはりお香が焚いてあって、なんだか急にここまでの記憶が蘇った。香りの思い出から芋づる式に色んなことが思い出されるの面白いよね。

店内は所狭しと本が置いてあって、しかしうまく説明出来ないけどちゃんと偏っていていいなあと思った。本の偏りって凄くあって、この店には何度も入荷するけど別の店では開店以来一度も入荷しない本やジャンルというのが確かにある。

筒井康隆星新一と海外SF良かったですよ……めっちゃ広域をカバーしているという風ではなくて、しかし見たことないぞこんなの…みたいなのがかなりあった。

 

会計をしてもらって帰りしなに「なにで知ってくれたんですか?」と店員さんに聞かれて「コロナの頃に店の前でお香焚いてあったのが気になっていて」という話をした。チベットのお香らしくて少し分けてもらった。

いい匂いのお香や線香がめちゃくちゃ好きなので「えっ、えっ、いくらか払います」と言ったら「大丈夫す大丈夫す!確かねぇ、チベット無添加のやつだったと思うからもしかしたらネットでそうやって調べたら出てくるかも」と言われて、早速公園でパンを食いながら調べている。風が強いのでちょっと寒い。