虚無を打破するために虚無をする

冬って寒さにばかり意識がいきがちで、寒いのでスポーツもやらないしやはり寒いのでどこかに出かけることもなくてわたしにとっては結構人生の中で「無」の期間だ。

 

そこで通販でダイヤモンドアートというやつを注文した。どういうもんなのかよくわからんまま注文したんだけど、粘着のある布に様々なラインストーンを貼っていって絵を作るみたいなやつらしい。とはいえ自由に好きな絵を作るという訳ではなく「ここにこの色のラインストーンを貼ってくださいね」というのが細かく書かれている。

セット内容は

・粘着性の布

・ラインストーンを入れておくトレイ

・20色くらいのラインストーン

・ガムみたいな板

・使い捨てストローを改造したような簡易的な筒状のペン

・多分余ったラインストーンを入れておくためのチャック付き袋

注文しておいてなんだが、これは楽しいんだろうか。

心配になってYouTubeでダイヤモンドアートをやっている動画を見てみた。筒状ストローの先にガム板をつけるとそのちょっとした粘着でラインストーンをペンに付けられる。それを粘着布に置くと布の方が粘着が強いのでラインストーンが布に接着される。それをずっっっと続けている動画だ。

この動画を再生している人の大半はASMR用途で聴いているようだった。粘着のペタ...プチ...という音とラインストーンがひしめくジャラジャラ...という音がひとり暮らしのわたしの部屋で静かに再生されている。なんとも虚無だ。

動画の1/5程度で「最後まで見ても驚きの結果があるとかではないな」と思ってさらにこれは果たして面白いのか...と軽く絶望した。

 

とりあえず動画のおかげでやり方はわかったのでプチプチと白いラインストーンをつけていく。ひとつぶひとつぶ貼りながら「これは本当に楽しいんだろうか」「ドモホルンリンクルの一滴一滴を見つめている人と同じ精神状態だ」「刑務作業か三途の川の石積み」などの感想が頭の周りをぐるぐる回った。そうして根気強くラインストーンをくっつけていると6時間経っていた。

面白い感覚はこれといってないのに集中して出来て、結果的に時間は潰れている。なんだこれは。

 

それをここ3日続けた。計18時間でダイヤモンドアートはとうとう完成した。

なんかこう、そんなに達成感もない。表面を手でスサーッと触るとラインストーンの小さいべこべこがいい感じの触感だなとは思うけどそれ以上もそれ以下もない。ラインストーンかなり余ったなという感想しかない。

しかしなぜか作り終わってから通販サイトで次にやりたい手応えのありそうなクソデカいダイヤモンドアートをお気に入り登録しまくっている。難易度がぬる過ぎたから虚無だったのかなと思ったからだ。かなり希望的観測ではある。そのことを自覚しているのでお気に入り止まりで、カートには入れていない。しかし時間の問題だろう。

 

信じてるんだ、俺を楽しませてくれる強敵(むずいダイヤモンドアート)が存在するって事を...よ!!!

これからも俺たちの旅(通販サイトでのダイヤモンドアート探し)は続くぜ!!!

〜ご愛読ありがとうございました!ぺよぽ先生の次回作にご期待下さい〜