サンタさんは実在する

ミュンヘンクリスマス市でサンタさんに会ってきた。今日。今日というかついさっき。

 

ミュンヘンクリスマス市は毎年色んなサンタさんがはるばる来てくれていて、クリスマス市をHOHOHO…とかMerrrrrrry Christmaaarsとか言いながらゆっくりにこにこと闊歩するターンと撮影スポットでみんなを待っているターンと壇上でお子様たちにクリスマスプレゼントをあげるターンがある。結構徹底してサンタさんをやっているのだ。

 

で、サンタさんといってもおそらく何人かいて、年によっては100%好みのサンタさんという訳ではないこともある。毎年見に行っていて、わたしの推しのサンタさんはダンブルドアみたいな風貌のサンタさんだ。サンタさんはサンタさんなのであのサンタさんがどの年に来るのかとかはわからない。一応サンタさんというのは唯一無二で何人もいないことになっているだろうからこのサンタさんを特定して推すことが出来ないのが歯がゆい。

まあ、そういう推しのサンタさんがいる。

それで「ミュンヘンクリスマス市 2022」と検索してみたら今年のサンタさんがまさかの待ちわびた推しサンタさんだったため退勤後に会場に直行することにした。ちょうど退勤後に行けばサンタさんがいる時間に間に合いそうだったのが幸いした。

(もしサンタさんに会いたいなら曜日ごとに出没する時間が違うのであらかじめ調べてから行くことをおすすめする。屋外で長時間待つのしんどいし、地下街で暇を潰すにも人混みが凄いので。)

 

そしてサンタさんを発見し、改めてこの北国のクソ寒さに顔を赤くしているのに震えてもおらずサンタらしい緩慢な所作でHOHOHO…とかジングッベ〜ルとか歌っているサンタさんを見て胸が熱くなった。推しだァ…。何年ぶりだろうか…。2018年とかじゃないかな、前に来てたの。かなり久しぶりの推しだ。

サンタさんはフォトスポットでカップルやご友人や旅行に来た海外の方々やお子様などと写真を撮っていた。わたしはいい位置で推しのピンショットを撮りたくてソヨソヨしながらそういった人々が写真撮影して離れるまでの短い時間でピンショットをめちゃくちゃ撮っていた。

すると真ん前にサンタさんがきて「お、おおおお…」となった。 横にご友人同士で来ている女性がいたので「さ、さすがにひとりでサンタさんと写真撮ってもらう心の準備が出来てないのでお先にどうぞ」といい、その方とサンタさんの写真を撮影してあげた。

すると「あなたも撮ったらいいですよ!わたし撮りますんで!」とワイワイ盛り上がって「オ、オワアア…いいんですか!お願いします!」となりひとりだけサンタさんとソロで写真を撮って貰うことになった。

サンタさんは写真を撮っている間も本当に徹底してサンタさんで、おずおずと近寄るわたしをそっと分厚いミトンの手袋をした手で寄せてくれて撮影するまでのわずかな時間クリスマスソングを歌ってあやしてくれた。

かなり感無量になり「あ、あなたに会うために来たんです!ありがとう!」と伝えたが多分日本語そんなわかってないと思う。 そりゃしょうがないよな。

それはともかくサンタさんは 陰の者なんかも構わず写真撮ってもらっていいじゃん!無礼講イエ〜イ! みたいな場の空気を作っていて、写真を撮り終えた人たちも「なんか凄い楽しかったね!写真撮って貰っちゃったし!」とホコホコしながら帰っていてこれがサンタさんの魔法か…と思った。

あのサンタさんには場の空気を暖める魔法がある。

生活しててたまに周りに「なんかあいついると盛り上がるよね。なんだかわかんないけど。」みたいな人いると思うけどそういうのの強い版。だってみんなほぼ初対面みたいなもんなのにホコホコしてっからね。凄いよ。

 

ところでマジのサンタライセンスというものがあるらしい。

サンタという存在そのものが好きすぎて調べたんだけど、日本人でも芸人の方がひとりだけサンタライセンスを持っている。 モンドセレクションくらいチョロく取れるんじゃないのそのライセンス…とか思うかもしれないが結構審査内容は過酷だ。

例えばドイツ語での面接とかクリスマスソング(もちろんドイツ語版のだ)を歌えるかとか煙突からの出入りが出来るかとか重たいプレゼントが詰まった袋を持って走るとか、そういうのが審査項目としてある。受かる人はかなり少ないらしい。

皆さんも是非目指して見て欲しい。

 

ハァ…あのサンタさんには次いつ会えるかな。

コロナ禍がマシになってくれたからお会いできたので本当によかったよ。

しかしクリスマス市の会場の規模はかなり縮小したように思う。あの、本場の木でできたクリスマスオーナメントを売ってる店(個人的にキリストが厩で生まれているところをミニチュアにしたやつとかかなり欲しかった)とか、シナモンや八角を使ったオーナメントを売ってる店だとか、キャンドルしか売ってない店とか、やたら高保湿なハンドクリームを売っていた店なんかはなくなっていた。

ちょっと前までは2倍くらい規模大きかった気がするんだけども札幌まで新幹線開通する年とかに盛り返さんかな。 そうでないとあのサンタさんが来なくなってしまう。

そうしたらいつの日か自分より年下の人と話していても「本当だって!毎年サンタさん来てたんだって!」っていうかんじになってまるでサンタさんそのものが消えてしまうみたいじゃないか。ねぇ。それは寂しいよ。

皆さんにも会えるうちに是非あのサンタさんに会って欲しい。本当に最高なので。吹雪いてても会う価値あるので。 一目見るだけでもいいので何卒よろしくお願いします。